歪の中心で

1日なんか気持ちが暗いところを漂っていた。最近よく零しているけれど、本当に一人でいると碌なことを考えないというか、常に不安と抱き合っているような、不安に押し倒されているような時間が続いて、最終的に被害妄想的に周りに敵を勝手に作り出すという最悪の悪循環に陥ってしまう。外との繋がりがほとんどSNSしかないのに、マジでTwitterで何を呟いても「嫌に思われている」「バカにされている」という気持ちが付き纏い、ちょっとしたノイローゼになっている。昔からこういう性質はあるから今に始まった話じゃないけれど、対面で人と話す場面が奪われている分、加速している感はある。SNS上では味方も敵も同じ顔をしている、誰かが敵で誰が味方か分からない、そんないよいよな想いが眠りを妨げる。昼は日高屋のラーメンを食べ、その変わらない味に安堵した。夜はカレーを作り、その温かい味で不安が少し和らいだ。今や世界で落ち着ける瞬間は、自分で作った料理を食べているその数分間のみとなってきた。外にそれを作らなければならない、でなければ生きていくことはどんどん難しくなる。救いを求めるように、また寝る前に映画を観た。

TENET テネット [Blu-ray]

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  • ジョン・デイビッド・ワシントン
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クリストファー・ノーラン監督作品。あるテロ事件に関わったのがきっかけで人類滅亡の危機を救う任務を受けることになった主人公が、時間の流れを“逆行”しながら世界を救おうと奔走する姿を描いたSF映画。過去、現在、未来が複雑に交差しながら進む複雑な話展開と、それを表現する圧倒的な映像美が物凄い、公開時に話題になったのも頷ける大作だった。構えていたからか、思ったより難しくないとは思ったものの、終始話に付いていくのに必死で、本当に最後の最後まで見逃せない上に、理解が追いついたのも観終わってしばらく経ってからだった。ノーラン作品は割と追っているものの、一番やりたいことをやって、しかもそれを「映像として」落とし込んでいる作品というか、難解な話なのにとりあえず映像を追っているだけでもハラハラさせられて楽しいし、長さを感じないスピード感があって、マジでよくここまでやり切ったなという想いが強い。間違いなく1周で全ては呑み込めないし、それ以降の驚きやカタルシスが増す映画なので、気軽に勧められない気持ちもありつつ、とにかく1回体感して欲しい気持ちもある。騙されたと思ってというか、騙されながら観て欲しい。