続・西へ

関西二日目の朝。泊まったホテルは駅近くのビジネスホテルだったんだけれど、これがなかなか良いところで、部屋も良い感じだったし、朝も追加料金でビュッフェも食べられるので、朝はKouさんと2人でビュッフェにて朝食を取った。サバの塩焼きに卵焼きに納豆に海苔に、和風っぽくまとめて健康的に、と思ったはずが、ご飯をおかわりして、それでも足りずにカレーも食べて、全然不健康な朝にしてしまった。Kouさんもうどんとパンケーキを食べたあとにフルーツグラノーラを食べていて変だった。朝食後はホテルでやることもないのでチェックアウトし、京都に向かった。Kouさんも途中までは大喜利を見学することになっていたので同行し、京都駅から会場近くまではバスに乗ったんだけれど、京都のバスはかなり混んでいて、ともすれば京都の町は路地ごとに住所が違ってたり駅が散らばっていたりで、電車で行くよりバスで細かく刻むほうが行きやすいらしく、乗ってこれない人がいるほどで驚いた。バスを降りて、昼飯を一緒に食べるために合流する予定のパンさんと(二日続けてありがとうございます)あと一緒に大喜利にも参加するCRYと待ち合わせる時間までまだあったので、近くに会ったお茶の店に入った。京都らしいことをしよう、とのことだったけれど、京都の店で飲む抹茶は美味しかったし、かなり「京都に来た」と単純に思えて良かった。抹茶を飲んで落ち着いたあとは、パンさんCRYさんと合流し、天ぷらと寿司の店に行った。天ぷらと寿司?盆と正月?って感じだったけれど、ランチのお寿司と天ぷらのセットがお得でめっちゃ美味しくて、地元の人に聞いてみるもんだなと思った。旅の頼りは地元民、土地勘がないのに地図をぶん回すのも考え物なのかもしれない。抹茶と天ぷらと寿司を胃に入れると、いよいよもうゴールかと見紛うけれど、今日ここからが本番。参加する明後日杯の会場に4人で向かった。明後日杯は貯蓄アンドザシティさんが不定的に京都でやっている大喜利大会で、大阪の大喜利会とかにはいない面子が揃うのが面白く、今回もかなり変な並びになっていたので参加を決めたのもあった。昨日も会った木曜屋さんや一緒に来たCRYさんなどはお馴染みな感じはあったけれど、この貯蓄さんの会とかでしか見ない気がするひつじのあゆみさんや、大喜利のAIを作った人がそれを持ち込んで参加していたり、スプシの大喜利しかまだ参加したことがなかった無償の愛撫さん、この前こっちで初めて会ったカタンさんや、多分初めて大喜利会に来ていた大学生の人とか、今日この場でしか集まらないようなメンバーで、やっぱり面白かった。とはいえ、そもそもの目的がこの大喜利だったし、遠征してまでスベりたくないというか、遠征したからにはウケたり勝ったりは前提だと思って来たので、何とか観光の色で染まりかけた頭を気持ちを切り替えて、大喜利に臨んだ。大会は静かな空気で始まり、割かし静かなまま進んでいく印象だった。特に予選の1周2週あるうちの後半は貯蓄さんもお題を難しめにしたと言っていた通り、各自が「解いていく」空気で、経験のある人でも沈んでいたり、逆に慣れていない人が1発打ったり、緊張感がずっと続ていく感じで、自分的には全くダメな時間はないけれど、すごくハマっている時間もなく、といったところで、予選は5位くらいで自己採点そのままだった。準決は一人抜けだったから、これは相当エンジンかけないと負ける、遠征して負けたくない、と気持ちを強く持って臨んだものの、2問やって2問とも爆発はできずという感じで、ただ無くは無いかなくらいの気持ちで審査を待ったら1票差で負けてしまった。勝ったのは良さげさんという、名前は知ってたものの大喜利は初めて見る人だったんですが、予選も準決も、他が苦しむところで自分の色で別のウケ方をしてるなという印象で、これは食われたらヤバいなと思ったらその通りになってしまった。1票差だったから、もうちょっとウケていたら、もう1個何かあれば覆せたってところもあるからめちゃくちゃ悔しいですが、そのあと良さげさんがより勢いを増して決勝で優勝したのを見ていると、こっちの形で良かったなという気持ちも芽生えたりしました。というわけで久々の遠征での大喜利は、なんともしょっぱい形で幕を終えましたが、本当にずっと肌で感じられなかった違う土地での大喜利は新鮮で、緊張感あって良かったですね。久々に会えた人も、こんな早く会えると思えなかった人も、初めての人も、色々あって面白かった。途中で東京に帰ったKouさんにも改めて感謝しか無い。こんな僕を拾って大阪まで連れて、一緒に遊んで貰って、こういうしっかりした大人に救われる毎日である。大喜利終わりで、パンさんに飯行きましょうって声をかけられたとき、マジで咄嗟に「行こ行こ」って地元のツレみたいな返事してしまって、自分でかなり笑ってしまった。そのぐらい、終わって気が抜けてしまっていた。結局その日もパンさんに仕切って貰って打ち上げに行ったんだけれど、道中、僕と将棋紳士さんとベンチウォーマーさんでパンさんとアホほどいじり倒して、許してもらってるからやってるけど、申し訳無さも感じたりした。しょっぱいパンさんは凄過ぎるので、みんな大切にしてあげて欲しい。お酒を飲んで大喜利大喜利会やお笑いの話をして盛り上がって、正直帰るタイミングは決めていなかったけど、明日大喜利ライブに出るから今日帰るのがベストなんだろうとも思いつつ、お酒を飲んでいたら全然帰りたくなくなってきて、結局最後まで店にいて、帰るのは明日、と脳内で判子を押していた。この週末が終わる空気を背中に感じながら、それを何とか忘れようとしながら、電車に乗り、梅田まで向かった。泊まるところも決めていなかったので、その場でビジネスホテルを予約して泊まった。昨日ほどではないものの、全然悪くないホテルに入れたので、部屋に入ったときの安心感が凄かった。打ち上げからここまで向かう道中、急に寂しさが込み上げてきて、それがこの先の未来の暗澹たる感じと混ざり合い、ちょっと泣きそうになった。東京に戻ってしまったら、そこには根元まで吸って残り少なくなってるタバコみたいな人生しか残っていない気がした。スマホで今日の感想などを呟いて、宇多川さんから何故か貰ったパンを食べて、ゆっくり明日を受け入れる準備をした。こんなに楽しいことがあるのだから、生きてもう一度ここに舞い戻ってくるしかない。ありがたいことに、死んでしまうには、やりたいことも、会いたい人も、あまりにあり過ぎる。ビジネスホテルの冷え切った独特の空気を吸い込んで、一思いに目を閉じた。西の地にて、眠りは本当に一瞬で訪れた。