ゆれる、ゆれた

 

ラッパーのハハノシキュウさんの主催するINPON GRAND PRIX2021という、韻に特化した大喜利の大会に出てきた。これだけ書いても意味がよく分からないかもしれないけれど、僕も意味がよく分からないままエントリーしたし、当日も意味がよく分からないまま会場に向かっていた。発端としては、大喜利の知り合いがTwitterでこの大会に言及したのを見て、単純な好奇心から出てみようかなと、大喜利もラップも好きだし知り合いもいるしな、という軽い気持ちでエントリーしたんだけれど、よくよく考えみたら「ハハノシキュウ主催」で「ラッパーがゲストで出てくる」という状況が改めてヤバいし、ラップが上手いわけでもない、あと普通にアウェイでは?と不安が一気に沸き上がってきて、今日を迎えるまでに緊張感も多分に増していくこととなった。そんな中で迎えた今日の当日、発端となった大喜利の知り合いのしゅごしゅぎさん、同じく大喜利勢からエントリーした中国産さんと待ち合わせて、ご飯を食べながら大会について話したんだけれど「ボードがあるのか」「IPPON意識するならあるはず」「でも、最悪無いと考えたほうがいいかも」「ビートに乗せる感じだったらどうしよう」と不安に不安をぶつけるだけで終わり、緊張は一切解けず。そして集合時間になって会場となるライブハウスに向かうと、他にも大喜利勢からエントリーした人がいたので合流して、一緒にエントリーを完了。その際、ホワイトボードが準備されているのを見つけ、ほんの少しだけ安堵をする。開始時間まで時間があったので、合流した人らで近くの居酒屋に入り、ドリンクだけを頼んで再び会議。軽く韻を踏む練習みたいなものもしつつ話すも、不安と緊張からか、全員異様に静かになってしまい、まだ何もやっていないのに負けたみたいな空気になってヤバかった。なんならこのまま帰るかくらいの雰囲気だった。


開演時間になり、いざ大会が開始されると、最初はちょっとやる側も見る側も手探りというか「大喜利の面白さ」と「韻の硬さ」という2つの評価軸の前に若干の迷いもあって固かったものの、これが大会が進むごとに上手い具合に絡み合って、どんどん盛り上がっていった。自分の出番のときなど、マジでめちゃくちゃ緊張したけど、ちゃんと韻を踏んで大喜利したら、これが思いの外ウケて本当に嬉しかった。韻を考えて、大喜利もして、と普段の大喜利より考えることが多く、手数の差で負けてしまったんだけれど(勝ったのは川嵜でし太さんという、一緒に大喜利もしたことのがある大阪の芸人さんだった)見てる知り合いからは「あそこで流れが変わった、大喜利もいける感じになった」と言って貰えて、かなりありがたかった。確かに、実際自分が3ブロック目で、2ブロック目までは韻が強めだったのを、自分とでし太さんが大喜利でウケて(もちろん韻も踏んで)以降のブロックからは大喜利で押せる感じになったのはあって、その後しゅごしゅぎさんや中国産さんが勝ち上がる土台になった、のかもしれない(そうであって欲しい…)大会はライブを挟んで後半戦、運営や進行のNonkeyさんも慣れてきたのか、お題の変更のタイミングなどもテンポ良くなって、盛り上がりもさらに増していき、最後の最後に残った決勝は、何とでし太さんと中国産さんという大喜利勢対決になった。自身の大喜利のスタイルをそのままぶつけて勝ち上がって来たでし太さんと、韻の高さと面白さ、それをイラストで分かりやすく見せて支持を得た中国産さん。決勝は1問1答という緊張感のある形式で、この頃になると観客も完全に「INPON」を理解した上で見守っていて、ああ、なるほど、これはこういう大会なんだと、それが形作られているのを感じられて良かった。勝者は、決勝でもイラストで爆笑を取り続けた中国産さんだった。最初から最後まで、初見のお客さんもゲストのラッパーも、関係無く笑わせた中国産さんは、本当に圧倒的だった。大喜利の優勝も初で、その最初がこの大会ってのが凄過ぎるし、一生の思い出になるだろうから、そのあとめちゃくちゃ祝福した。自分は直接は闘わなかったけれど、ゆうまさんやFRANKENさん、Dr.マキダシさん、Amaterasさんていう、マジで僕がいつもMCバトルの動画で見続けてた人と同じ場で大喜利して、そんな中で知り合いが優勝するっていう、自分が見た夢か?っていう展開に、終わったあとも、なんなら今も、現実感が無い。大会のルールも雰囲気も素晴らしかったし、ライブもめちゃくちゃブチ上がって、本当に来て良かったと思ったし、来た人らで言い合った。2回目があるのかは分からないけれど、正直大喜利的には(ラップ的にも)悔しい部分があるので、リベンジもしたいし、今回来てない人にも出たり観たりして欲しいから、次があって欲しいと思う(次に繋がるかもなので、興味ある人は配信を買って欲しい)5年前くらいからラップにハマって、こうしてラップと大喜利の大会に出れる友達ができて、最高の大会を共有できて、分かんないけど、ヒップホップには夢があるのかもしれない。自分の人生には今不安しかないけど、こうして心が揺れるときがあるなら、生きててよかったと思える。ハハノシキュウさん、ありがとうございました。ビガップ!!!

 


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