次の１０年

前に連絡が来た大学のときの後輩と通話をした。
大学の他の知り合いの近況とかを聞こうと思ったら、向こうは向こうで全然連絡を取ってないらしくて笑った。全然もっと経ってないと思ったら、話すのが大学卒業してからだから１０年振りぐらいで、その瞬間浦島太郎みたいな気持ちになった。１０年はあまりに、あまりだ。少し目眩もした。そのあと本当に取りとめない話、お互いの最近のこととか、年を取ったこととか、結婚をイメージできない話とかをした。会社でほとんど人と話さないから、大喜利以外の知り合いと話をするのが久々で新鮮だった。大喜利の主催してることも話したけど、全く知らない人からすると全然よく分からないことをしているんだろうなと思う。そもそも大学卒業して上京したときは、お笑いの養成所に入るって話で、実際それはそうだったんだけれど、そのあと１０年後に大喜利の主催を定期的にやって、自身もバリバリ大喜利やって「勝ちて～」って日記で嘆いているのは、一体どういう了見だよって感じかもしれない。ここに至るまで、何だかんだ色々あったし、古い知り合いに一言で説明が出来ないところに今僕はいる。「変わってないですね」とも言われた。確かに、大元の精神は昔から変わっていない。同じくらい幼いし、体だけがおっさんになっただけだ。恋愛の話にも触れたけど、残念ながら大学のときから一切恋愛はしてないし、もっと残念なことに、それを自分で残念に感じていない。玉手箱を開けたあとの浦島太郎がそのあとどうなったか、どんな結末になったのか、そういえば覚えていない気がする。亀を助けたときの若者の心で、余生を浦島はどう過ごしたのか。恋愛はしたのか。結婚はしたのか。養成所で挫折して東京で詰みかけてからの１０年、僕はたくさん無駄な時間も過ごしてしまったけれど、この１０年が無かったら、この１０年で人と出会わなかったら、就職も主催も、何一つ出来なかっただろうから、竜宮城でただ舞を見る生活よりはまともだった、と思いたい。いや、そう思えるかは次の１０年でまた答えが出るのかもしれない。そして次の１０年の答えは、その次の１０年で、最後は墓に入るまで、この問いは続く。

そんな迷いを振り切るように、ではなく、単純に夜食べた分を昇華するために今日も走った。３キロ。日にちを空けるといって、結局毎日走っている。体重計の数値は今日も不安定だった。この走りはどこかに辿り着くのか。夜を経て、今、週末へダイブ。