兎の如く、時代を跳ねる

そしてまた何も無い1週間が金曜日に辿り着いた。TSUTAYAからクーポンが届いていたので、渋谷まで出かけて人に勧められた映画と、あと観よう観ようと思っていたのにいつも貸し出されていたヴァイオレット・エヴァーガーデンが全巻あったので劇場版までまとめて借りた。帰りには水曜日に頼んだジャケットとズボンを青山で受け取った。来週の職場見学にはこれを着ていくことになる、社会が近づいてくるごとに心がふわふわしてくる。背中を急に強い風に押されたような、いきなり敵と対峙させられたような、そんな恐怖を抱きながら帰宅し、金曜定例のサイファーを呼びかけたら人が集まらず、仕方ないのでラップはせずに借りてきた映画を観た。


第二次世界大戦下、自分の空想上のヒトラーと会話することで孤独に耐える少年ジョジョが、母親が匿っていたユダヤ人の少女エルサと出会うことで人間的に成長していく姿を描いた映画。敗戦に追い込まれるドイツの過酷な環境、時代が移り変わっていく大きな流れという背景に後ろにあることで、ジョジョという一人の少年の、小さい歩みが心に大きく響いてくる構図になっていて、戦争の映画ではありながら、決して悲劇では終わらない、むしろ悲劇の中でこそ光る喜劇として物語が光り、最後の爽やかなラストなどは本当に感動した。かなり重めのシーンもあるので、途中まではジャンルがコメディあることに疑問符も抱いていたけれど、観終わったとき、間違いなくこれは「コメディ」であり、希望を持って観終わっていて凄かった。気づいたら、そのコメディの中でたくさん笑い、たくさん泣いていた。どんな辛い状況でも、人は人として生きていけるし、それだけでも尊いことだと、登場人物たちが何も言わずとも教えてくれた。良い映画でした、これは。母親役のスカーレット・ヨハンソン役の演技がめちゃくちゃ凄かったし、そこも注目して観て欲しい。かなりおススメです。