みんな下手で、みんな不器用で

今日も起きたのは11時を過ぎてからだった。そして朝食はすっ飛ばして、ご飯を炊いて納豆ご飯を食べた。なんていう、なんていうしょうもない一日だろうか。無価値にして、無風。競馬だとしたら、新馬戦(競走馬が最初に走るレース。ここを勝たないと競走馬として生きていけなくなる)でずっと勝てず、その生命の危機を遠くに感じている頃合かもしれない。闘争本能は消えかけ、ゴールは視線の先で遠く遠くなっていく。連日、競馬の本を読んでいるせいか、そんな光景が目に浮かぶ。周りにも見放されかけている、いや、既に見放されているかもしれない。終わった人間として処理されているかもしれない。もしそう指を差されたとして、終わっている人間だから否定する自信すら無い。生きていく自信が欲しい。生きていていいって思える根拠が欲しい。日々日々、活力が消えていっているからだろうか、この映画が深く突き刺さった。

 
クラスの子供をうまくまとめられない新人教師・岡野、娘を虐待してしまう自分に悩む母親・雅美、認知症の陰に怯える独居老人・あきこ。「子供と教育」というテーマを背景に、同じ町に暮らす3人の主人公が人との出会いによって人生に光を見出していく様を描いた映画。虐待やいじめ、障害など、子供を取り巻く重い環境を扱った話で、前半は特にずっと暗雲が立ち込めるかの如く、シリアスなシーンが続いて胸が痛くもなったんですが、光が差すようにそれぞれにゆっくり救いが差していく展開が本当に美しくて、気づいたらボロボロに泣いてしまった。構成的に3人が直接交わることなく、あくまで近くに住んでいるぐらいの距離感なのが「近くに、同じように苦しんでいる人がいる」という気持ちが感じられるように作ってあって、そこもすごく良かった。今まで誰かに優しくされてこなくて、だから人にうまく優しくできなかったり。「いい子」と抱きしめられてこなかったから、人をうまく抱きしめられなかったり。そんな登場人物たちが自分自身を受け止めて、そして人を受け入れていく。観終わったあとに、タイトルの意味が深く沁みて、また涙が出て来た。個人的には、家族を失って孤独に生きる老人あきこと自閉症の少年、その母親との交流を描いたシーンが特に刺さって、それが今思い出しても泣いてしまうくらいに印象に残った。割とヘビーな描写もあるので、しんどい人はしんどいかもしれないですけど、すごく心に刺さった映画なので、お勧めです。