消えた焚火を振り返る

生姜焼きを食べました。
昨日の今日で何を食べようか頑張って考えたものの何も浮かばず、結局逃げとしての生姜焼きに行き着きました。一応、ちゃんと生姜に漬けたものの、醤油の量を入れ過ぎて、生姜焼きというよりかは醤油漬け豚肉焼きになってしまい、濃い味に顔をしかめながら食べきりました。ご飯もまた炊き過ぎてしまった。ご飯の量も醤油の量もちゃんとできない。今一番まともにできる料理は、鮭を焼くことくらい。鮭を焼くことくらいでしか人間になれないでいる。人として胸を張れる自炊をしなければいけない。

『ゆるキャン△』Blu-ray BOX

『ゆるキャン△』Blu-ray BOX

  • 発売日: 2020/12/16
  • メディア: Blu-ray
 

 ゆるキャン△を観終わりました。気づけば、ものの3日で走り切ってしまった。
冬に一人でソロキャンプをするのが好きな女の子リンと、山梨に引っ越してきたばかりで富士山を観ようとして迷い、リンに救われた女の子なでしこを中心に、キャンプに興じる女の子を描いたアニメで、いわゆる日常系みたいな括りなんですかね、ゆるく女の子とキャンプを描いていく感じが本当に心地良くて、何のストレスもなく観れました。
日常アニメって、実際難しいというか、何も無さ過ぎても飽きるし、逆に攻めても世界観が揺らぐしで、ゆるい雰囲気を保ちつつどう見せるかってところがある気がするんですけど、ゆるキャン△は丁度良かった。軽いストーリーとしてある、一人のキャンプを好むリンが、なでしこの元気に押されて一緒にキャンプを重ねて、ちょっとずつ周りと馴染んでいく様がすんなり心に入ってきて、それも大袈裟な演出とかがあるわけじゃないんですけど、舞台となる冬の空気のようにじんわり沁みてくる感じがすごく良かった。リンも大きく変わりはしないけど、なでしこによって色が与えられて、なでしこはリンによってキャンプという世界を知って、誰かの命が救われたとか、正義が悪とかはないけど、2人の心が冬に輝いてく姿が美しかった。
リンはソロで、なでしこは学校で入った野外活動サークルの仲間である千明とあおいと、それぞれ別のキャンプに行って、その夜、リンとなでしこが山の夜景を写真で送り合うっていうシーンがあって、そこがめちゃくちゃ良くて泣いてしまった。
目の前に広がる最高の景色を、これを良いと思ってくれるだろう人に送るということ。向こうも、同じように最高の景色を見せてくれたということ。2人が観る夜景が、一つと一つの夜景から、一つの夜景として映る瞬間が、あまりに綺麗で泣いてしまった。
そして、この距離感があるからこそ、最後みんなでキャンプしてみる景色がまた美しく感じて心に響きました。「みんなでキャンプに行く」がゴールの話って何だよって思うかもしれないですけど、そのゴールが本当に良いゴールとして納まっていた。

キャラクターの話をすると、なでしこがめっちゃくちゃ可愛くて、本当に驚いた。元気で大食いで、好きなものを見ると犬のようにダッシュしていく姿がずっとキラキラしてた。あ~、こういう子好きだったな!ってことをなでしこにぶん殴られて思い出しました。なでしこがいたからゆるきゃん△のある生活はより輝いてた。
クールだけれど飯に素直に感動するリンも可愛かったし、キャンプに全力な千明、爆乳のあおいも可愛かった。斉藤さんとリンの絡みはずっと癒されてた。日常系だしそりゃそうかって感じだろうけど、悪人のいない、というか出ようがない世界観も今の感情的にはかなりリラックスできました。食事のシーンも、一分の隙もなく美味しそうで良かった。山の景色も良かった。笑っちゃうくらい単純だけど、キャンプに行きたくなった。自分の大好きな人と、自然の中で笑いたくなった。ご飯を食べて、温泉に入って、たわいのない話をしながら火を囲って、朝陽を見たくなった。今僕の頭の中では、まだリンたちが楽しげにキャンプをしている。

しかし僕は気付いてしまった、ゆるキャン△は終わってしまった。
ゆるキャン△のある生活は短かった。僕が自分の手で短くしてしまった。
明日からは再びゆるキャン△の無い、ただの日常が戻ってくる。なでしこもいない。

街灯も無い、整備されていない山道のようなその日常を僕は歩いていく。
ゆるキャン△があった」という、消えかけた焚火のような炎を頼りに歩いていく。

 

明日はまともなものを食べたい。