光まであと数センチ

EOT第9章(嫌OT)に出場してきた。今回は嫌だお題(こんな〇〇は嫌だ系のお題)しか出ないという特殊な回ではあったものの、エントリー数などはいつも通りで、個人的には嫌の部分はあんまりノイズに感じていなかった。ただEOTで結果を残す、それしか考えていなかった。大会前に、今日初めて生大喜利に参加する3104さんを中心としてデレマスの人たちとご飯を食べるために集まる予定があったので、早めに高円寺駅に向かった。3104さんとは相当昔にイベント後の飲み会でご一緒しただけで分かるか不安だったけれど、他の人と合流していたので良かった。デニーズで適当に雑談しながら、頭ではEOTについて思いを馳せていた。直前ギリギリに考えても仕方ないので、できるだけちょっと前に戦略は立てておいて、直前は頭真っ白で臨むのが丁度良いと思っているので、戦略といっても別にこれといって大それたことは無いけれど、とにかく速度と精度をどれだけすり合わせられるか次第だなとは考えていた。まず予選を抜けないと始まらないので、簡単な答えは出したくないけれど、ペンを止めることだけは避けたかった。ファミレスを出て、会場へ。ちょっと前に8章があったから新鮮味こそ無いものの、やっぱり入ってみると一気に大会の雰囲気が体に入ってくるのを感じた。抽選でAブロックがヤバいメンツ(ぺるとも、ファイナルエース、おせわがかり、Kou、田野、冬の鬼)になり、客席のボルテージが一気に上がって凄かった。他人事だから騒げたけど、自分がその中に放り込まれたら頭痛でもしてたと思う。とはいえ、自分も前半後半で言うと前半のDブロックになり、そのヤバいAブロックと点数的には競わねばならず、結局辛いことには変わりなかった。Aブロックは期待通りの大盛り上がりを見せて、それがEOT第9章のいわば幕開けとなった。ファイナルエースさんが長文回答でありえないくらい爆笑を取っていて、毎回驚くけど、どうしてこんな面白いことができるんだといつも驚いてしまう。そんなこんなであっという間に自分の番になり、自分のEOT第9章が始まった。前回は初速から遅れた感覚があったので、トップスピードを出せるよう集中した。幸い、というか当たり前なんだけれど、嫌だお題しか出ないからお題の咀嚼には時間がかからなくて、あとはとにかく自分の角度で答えて行けるか、それを数出せるかどうかだった。1問目はそこそこのウケ、2問目はちょっと外してしまい、3問目。悪くも無いけど良くもない、感覚的にはボーダーぐらいの出来だと思ったので、気持ちスピードを上げた結果、簡単な答えも出してしまったし、表現まで仕上げられなかった回答も出してしまった。これは、ダメか?と思いながら予選は終わった。その後の前半ブロックを見守った感じだと、かなり負けたと思った。自分よりウケて点数の高そうな人がたくさんいるように思えた。休憩時は、ずっと自分への嫌悪が自分に巻き付いてくるのを感じた。結局、この場で自分に出来ることなど無いのかもしれない。面白いことは出来ないのかもしれない。自虐を何とか振り切るように、後半ブロックはただただ観戦に徹した。MAさんしゅごしゅぎさんあたりがめちゃくちゃウケてた印象があった。特に最後のブロックのラスト1問「こんなクールポコは嫌だ」がとんでもなく跳ねていて、そこでもしゅごしゅぎさんはその大波を乗りこなしていて強さを感じた。生大喜利初である、いや、初であるはずの3104さんが真正面からの回答でお題を射抜いて、会場をどよめかせていたのも印象的だった。「あの人何者?」みたいな空気が生まれて、その過程を見て来た身としてはグッと来るものもあった。後半は3104さん以外にも比較的新しい人が多くて、そこでウケたところが勝ち上がったら面白いなと、半分負けた気持ちで集計が出るのを待っていた。再びの休憩時間も、完全に自分は無いものとして、ウケた人を褒めたり「行ったんじゃないですか」と勝手に背中を押したりしていた。自分のEOT第9章はここまで、と覚悟して臨んだ結果発表。第8位、ギリギリで自分の名前が呼ばれて、恥ずかしいくらい盛大にガッツポーズしてしまった。ダメだと思ってからの嬉しさもあったし、とにかく「残れた」ことがデカかった。70人中16人という狭き門ではあるけれど、EOTの予選と本選の間には大きい壁があり、そこを越えてやっとスタート地点、当たり前のことを言うけど、予選を越えなければ「優勝」は出来ない。かくして、自分のEOT第9章が、ここから始まった。動画用の写真撮影をほのぼのと(このときの控え室は本当に平和で良い)終え、いよいよ本選。僕だけじゃなく、それぞれがそれぞれの想いを抱いて、本選の舞台に上がって行った。当たり前みたいに本選に勝ち上がった六角電波さんやぺるともさんが勝つのが、その当たり前の凄さを痛感させてくれた。3104さんがベテランのかとじゅうさんを予選の勢いのままに打ち破ったのも震えた。自分の初戦は予選圧倒的だったしゅごしゅぎさんで、何気にEOTの本戦では2度目の対戦だった。前回は負けている(というかEOTの本戦をタッグ以外で勝ったことは無い)けれど、あんまりそれは意識して無かった。予選から本選の切り替えがいつも上手くいかなくて、加点から印象に評価方法が変わって、変にスピードを緩めるから多分ダメなんだろうなと思っていたから、いかに速度は緩めずに精度のほうを上げられるかが勝負だった。そこで自分の大喜利ができたら勝てるし、できなかったら負ける。それだけだった(と、いうような旨のことをコメントで言ったけど、あとで聞いたら全く聞き取れなかったらしく愕然とした)お題は「こんな遠足は嫌だ」で、正直ここはそこまで深いところまで行けず、決定打っぽいものを1個出しただけで終わってしまった。票差はあったものの、個人的には辛勝といったところだった。2回戦は、対ファイナルエースさんだった。予選を他じゃなしえない爆ウケの仕方で勝ち上がり、本選1回戦でもそのやり方で新星はるばくさんを倒してきていたから、まあ控えめに言っても嫌な相手だったけれど、逆にここまで振り切れている相手なら考えることも無いから、とにかく前の試合より回答の質を上げることだけに集中した。お題は「こんなベビーシッターは嫌だ」で、1答目はウケなかったものの、2答目で大きい当たりが出せた感覚があり、なんとなくだけれど、空気が向こうからこっちに移った感じがあった。続けた3答目が、多分この人一番手応えのあったやつだったけど、それがさらにデカいウケを取れて、そこからファイナルエースさんが負けを悟ったのか、さっきまでの自分のウケた回答の被せをやりまくって、投票時に100-0となって流石に笑ってしまった。どうしてファイナルエースの自害を見ないと行けないのかとは思ったけれど、単純にここを倒せたのはデカいという気持ちが強かった。トーナメントの逆側ではMAさんが勝ち上がって「虎猫、上がって来い」と宣言をして会場が湧いた。あんまり大喜利にノイズが増えるのは面倒だから、集中を切らすまいとして応えなかったけど、確かにMAさんが上がってきてるのはアツかった。代わりにというべきか、準決勝の相手である店長さんが「MA、待っててね!」とプロレスをして、これで負けたら嫌過ぎるとは明確に思った。店長さんとは過去に何回か闘って勝率悪い記憶があったから、連続で嫌な相手だなとは思った。ただ、ここまで来て相手どうこうの話はいよいよこの場に無いし、引き続き回答を上げていくことだけを考えた。お題は「こんな夜は嫌だ」ちょっと難しいなと思ったけれど、実際一つ大きくウケた以外は攻略できず、店長さんも同じぐらいの感じだったので、投票の結果延長になった。延長戦は2分、この前の7章のタッグ戦で1分でかなり頑張れたから、その倍できると思ったら楽な気持ちになれた。というか、予選の3分はめちゃくちゃ短く感じたのに、本選の3分は全然3分に感じていなくて、多分かなり集中できていたんだと思う。延長のお題は「こんな漢字の読み方は嫌だ」普段だったら苦手と感じるお題だったけれど、迷わず1答目までトップスピードで辿り着けて、それがウケたので行けると思った。その後の回答で1答目は越えれなかったものの、向こうにも超えられてない手応えはあった。結果は勝利、これで決勝のカードは、何と虎猫とMAという今じゃ無さ過ぎるカードになった。さっきも言ったけれど、大喜利にノイズを増やしたくなかったから、出来るだけ相手のことは考えないようにした。考えないようにしたけれど、いざ舞台でMAさんと対峙した瞬間には、ちょっとグッと来てしまった。MAさんがネットから生大喜利に来て以来、数年来の付き合いだし、お互い生大喜利に対しての手応えには首を傾げて来たこの数年があることは何となく感じていた。でも、優勝だけを目標にして走ってきて、やっとそれが手の届く位置に来た今、MAの2文字は頭から消す他なかった。代わりにお題である「こんな学校は嫌だ」の文章を頭に叩き込んだ。とにかく答え続けた。ウケたと思う、でもMAさんもウケてたと思う。3分。いや、5分。いや、10分はやってたような感覚だった。何答でもできそうな気がしたけど、どこまでいってもMAさんは走ってくるような気もした。長い3分の末、投票になった。全く分からなかった。祈る気持ちで拍手を待った。拍手の数は、MAさんの方が明らかに多かった。その瞬間、MAさんのEOT9章優勝が決まり、僕のEOT第9章準優勝が決まった。「優勝」があっという間に目の前が消えるのが分かり、もうそこからは涙が止まらなくなってしまった。圧倒的な悔しさと、それを与えたのが他でもないMAさんであること。色んなものが溢れてきて、またしても全然よく分からないコメントを僕はそのあとダラダラと泣きながら喋ってしまった。予選抜けてからは一気に駆け上がって来たEOTの階段、その最後に待っていたのは共に足掻いて来た旧知の人でした。「頑張って来たから」とか「ベテランだから」とか、あんまり声高に言うのは違うと思っていて、だって「頑張る」のはそれぞれがそうだし、結果が出るか出ないかはその先のことで、叶うかもしれない、遠ざかるかもしれない、それは残酷だけれど真っ当な現実で、理解した上で挑み続けているのだから、今回僕がここまで行けたのも、MAさんが優勝したのも、もちろん他の人がウケたのも、全部が全部、頑張ってきた先の、一つの事実。でも、その上で自分をここまで登らせたのは、自分の内にある気持ち、諦めたくなさ、自分の信じる面白さの自信であり、それが乗っかったのも、一つの事実で、だから僕はこの準優勝は始まりだし、引き続き挑戦者の気持ちでまだまだ上を目指さないといけないと思います。MAさんにも当然リベンジしますし、EOTも優勝します。負けはしましたが、本選でちゃんと自分の大喜利をしてウケたことは自信になります。始まりです、僕の大喜利は今日これからです。かくして3ヵ月連続となったEOTは、嬉しくも悔しい結果で幕を閉じたのでした。運営の皆さんには、ありがとうございましたとお疲れ様でしたを。最後に感情を一つ言うなら、大喜利、ずっとずっと面白くて凄い。これは、本当の本当に凄いこと。だから皆さん、また大喜利しましょう。闘いましょう。