吐く息はすぐに消える

薬が切れたという理由で、というか最近はそれでしか行ってないけれど精神科に行って、簡単な応答をしたのち、処方箋を貰い、薬局に行き、薬を貰った。なんだかもう、すっかり作業である。そのまま帰っても良かったんだけれど、前々から、働くってなる前に会社で着る服を新調しないといけないとずっと思っていて、派遣とはいえ、いつ出社してもいいようにと、その足で洋服の青山に行った。本当は普通にスーツを買いたかったんだけれど、思ったよりスーツが値が張って金銭的に厳しく、ジャケットの、さらに値段が落ちているものと、スラックスと、あとベルトを買った。この社会で人間になるための衣裳を買った。裾の調整の為、引き取るのは後日になったので、またもう1回街に出ないといけないのは少し面倒ではあったけれど、その手順すら社会の一部であるのなら仕方ない。疲れもあったけれど、夜は頑張ってブリ大根を作った。今や、自炊は人生に掴まるための、一つの手段になりつつある。それから今日も映画を観た。


函館の街を舞台に、書店で働く主人公の僕と、同居する友達の静雄、書店で知り合って関係を持った佐知子の3人の一夏の淡い出来事を描いた映画。若者たちの自由であり怠惰な毎日、何となく始まって何となく終わっていく風景が切なくて良かったですね。登場人物の心理描写や作品の雰囲気に感情移入できるかどうかで評価が分かれそうな作品って感じでしたけど、ドラマチックでも何でもない、ただ自分の中で時間が費やされていくのがリアルだったし、僕役の柄本佑の演技が素晴らしくて、静雄への感情、佐知子への感情を表情一つで見せていくのに唸りました。染谷良太も、主体性の無いダメな男をちゃんと出して演じていて良かった。個人的に、カッコいいのに冴えない雰囲気を作れる俳優って凄いと思っているので、印象が上がりましたね。本当に、こういうのが好き、って人に刺さる映画だと思うので、何でもない、夜が明けた直後の朝の、静かな空気みたいな映画が好きな人にはおススメです。