懐かしき煙かな

昨日諦めてからもう今日は焼肉を食べると決めていたので、起きたあともずっと「今日焼肉を食べる」ということを考えながら過ごした。焼肉屋に行くという覚悟でヒゲも剃った。できるだけ空腹を維持して夕方まで過ごした。といっても、お金があるわけでもないので、近所の安い焼肉屋に行くくらいしかできないので、そこに行って、しかも最小限の注文で済ませるだけだった。肉を焼いて、最初の一口がとにかく一番幸せで、一瞬だけど泣いてしまいそうになった。「就職するまでは焼肉に行かない」と勝手に自分の中でルールを定めていた為、それを破る形になってしまったけれども、どこかで大きく何かを発散しないと心が死んでしまいそうで、仕方ないと思う気持ちもある。最初の一口以降、幸せは見る見るうちに下降していったけれど、焼肉を終えたあとの、焼肉の匂いが服に沁みついていることに、無性に「生」を感じてそれが愛おしくなった。帰り道は、早くも鮮度を失った幸福感と引き換えに芽生えた「お金を使ってしまった」という負の感情と寄り添いながら歩いた。次に肉を焼きときは、必ず働いていて、友達と、良い肉を食べたい。それが今の一つの夢である。帰宅後はラパスさんがスプレッドシート大喜利を開いていたので、それに参加してから風呂に入り、焼肉を食べたしなと思って買ったアイスを食べた。焼肉の香り、大喜利でウケること、アイスの甘さ。生きているのか生きていないのか分からない日々で、今はとにかく確かなものが欲しい。