なんもねえ

退職日でした。午前は普通に仕事をして、午後からは引継ぎをしたり、あと退職の挨拶で関わった部署に行ったりした。ああ、こんな感じなんだ退職って思いながら、こういう流れがあるってことすら意識に無かった自分の非社会性を自覚したりもした。みんな「お疲れ様」とか「健康に気を付けて」とか言ってくれたけれど、自分の口からは「ご迷惑をおかけしました」って言葉しか出てこないし、事実その気持ちしか無いので、どこへ行っても最後は逃げるようにその場を辞してしまった。それでも「あと1時間で退職」って段になると少し気持ちが楽にもなって、ソワソワしたりもした。最後に軽い挨拶をしたんだけれど、全く言うことが無くて「ご迷惑をおかけしました」とまた言った。本当に迷惑ばかりかけた4年間だった。自分を見つめる人の視線に耐えきれなくて、ちょっと視界がグラついた。そして定時が来て、普段帰社するように退職をした。会社を出て「ああ、辞めたんだ」って思った瞬間、急にテンションが上がってちょっと走った。駅のトイレでホッとして泣きそうになった。退職は感情を大いにかき混ぜる。そのまま帰ってぶっ倒れても良かったけれど、ちょうどTSUTAYAのクーポンが来ていたので、どうせだしやりたいことやろうと思ってTSUTAYAでCDをバカ借りして、寿司を食べて帰った。お酒もたくさん買った。音楽を聴きながら、大喜利たろうをめちゃくちゃやった。無職である。今この瞬間、間違いなく無職である。来週明けて、離職票などが届いたら失業保険の申請、保険証の切り替えなどを行わないといけない。転職もしないといけない。吾輩は無職である。光はまだ無い。そんな無職の口にも寿司は美味しかった。4年間、振り返れば本当に何も良いことが無かった。気づけば自分が得意じゃないことをやり続けて、人間関係をこじらせて、ボロボロ寸前で退職というボタンを押した。もっと早く辞めていれば体も傷つかず、会社にも迷惑をかけないで済んだのではないか。弱音ばかり吐いてたくさん人にも心配をかけてしまった。そんな後悔も手元にある。来週以降、会社で自分の悪口が囁かれるのを想像すると胸を掻き毟りたくもなる。もう二度と同じ事を繰り返したくない、仕事で泣きたくない。ただ、今はその一心で歩いて行く他ない。本当に無職の意識が出てくるのは、土日明けて月曜、その朝、あるいは遅く起きた昼に違いないので、まずは普通の土日を楽しんで、3月のスタート地点を迎える。虎猫 無職編、今ここにスタート。