レぺゼン走る京都ナンバー

UMB2020のチャンピオン大会を見に新木場まで行ってきた。
MCバトルにハマって現場に行くようになってからというのもの、2016年からは毎年行っていて、その年の一番をこの手で決めに会場で声を上げるのが恒例行事なってしまった。今日は大喜利会もあったんだけれど、かなりギリギリまで迷ってUMBを選んだ。UMB(ULTIMATE MC BATTLE)は昨今かなり数が増えたMCバトルの大会の中でも歴史が古く、各都道府県の代表が地元を背負って闘うという意味で他のどのバトルとも違う空気があって本当に毎回熱い。ただ強かったり、ただ上手かったりだけでは勝てない、ちゃんと地元を背負って、その上で当日ドラマを纏った、いわば主人公になれるかどうかという雰囲気が明確にあって、そこが面白いから、色んな大会の中でも一番UMBが好きだ。今年は情勢の影響で予選大会が行えず、開催もだいぶ危ぶまれたけれど、各予選の主催者が代表を選抜することで出場者が決まり、会場内でのソーシャルディスタンスを最大限保つ形で開催された。大会は最初からめちゃくちゃ盛り上がって、情勢のために声を上げることはできず手を上げるのと拍手のみのレスポンスしか出来なかったけれど、ずっと最高の熱量が続いていって、激ヤバい大会だった。MCのバイブスも心なしか高かったように感じたし、選抜で選ばれた、いわばオールスタークラスのメンバーによる試合が続いたので、端から端まで好カードとベストバウトの連続で「いや、これ勝ち上がったらここと当たるじゃん、やば」ってのが全部だったし、2回戦以降はマジでヤバい組み合わせしかなかった。優勝は去年の準優勝の早雲で、大本命と目されながら、ガッチリ相手と対話していくスタイルで一人一人を確実に倒して勝ち上がって、決勝の最後のバースまで全部カッコ良かった。去年自分が負けた相手の「今までの全てはこの日の為だ」というラインを引用しての「あいつとは違う、今までの全てはこれからの為だ」ってラインが最高に決まっていた。「昔から何でも出来た、器用貧乏の自称B-BOYが頂点に立った」ってウイニングラップも重みがあった。一つ、物凄く尖った部分がなくても、地元を背負い続けて、しっかりラップに向き合っていれば日本一になれる。これまで大きいタイトルが無かった早雲が自分のスタイルで優勝したのは、かなり意味のあるものだったと思う。早雲にベスト4で負けたSKRYUも、この日めちゃくちゃヤバくて、同じく恐ろしく仕上がっていた輪入道を倒した試合、間違いなく一番のベストバウトだったと思う。「2018の予選の動画を全部観て、愛媛が一番ヤバかった。お前と当たれて良かった」という輪入道のアツいバースに始まり「Disry(SKRYUの地元の先輩)俺は間違ってなかった、あの日バイト帰りチャリでサイファーに出会えて良かった」とSKRYUが自分のバックボーンを返す。気持ちが高まり、最後は泣きながらバースを締めるSKRYUが「俺がやる」と輪入道の曲のサンプリングした瞬間、カッコ良過ぎてこっちも泣いてしまった。こういうバトル、互いの人生、背景、価値観がぶつかっていく様が本当にめちゃくちゃ好きだから、あの試合を観れただけでも、生で現場に行って良かった。輪入道とJAKEという、少し前のUMBで激戦を繰り広げた闘いの再戦もアツかった。ワイルドカードで一番会場を荒らしたS-kineと早雲の、若手とベテランのバチバチの勝負も凄かった。輪入道をギリギリまで追い詰めたUSTRのラップも良かったし、ALSEADやふーわも、強豪に打ち勝ってて印象に残った。映像含めて、今まで観たUMBの中で一番レベルが高くて、その上で熱量もあった大会だったと思う。コロナが生んだ最悪の世界がそうさせたのか、単純にMCバトルのレベルが上に行ったのか、分からないけれど、本気と本気、地元と地元のぶつかり合い、最高のUMBが観れて良かった。やっぱりUMBが好きだって思えた。来年、各予選が無事開かれたら、多分もっと凄い大会がその先に広がっていると思うので、平和を祈りつつ、また手を上げに行こうと思う。ビガップ。